園長室より

12月の園だより

早くも師走を迎えます。年取るとますます早く感じるのだとか…。これは日々の新鮮味が薄れていっていることに起因するのだと聞いたことがあります。ということは、子どもたちはさぞかし毎日が新鮮で、新しい出会いだらけ、ゆっくりと充実した日々を送っているのでしょうね。うらやましい。

今年は珍しく、待降節(アドベント)の初日が12月1日となっていて、世に出回っているアドベントカレンダーと同じで、1の窓は1日に開け、2の窓は2日に開けることなります。園ではクリスマス発表会に向けてそろそろ役も決まり、練習が始まろうとしています。そしてまた世界の困っている人々に思いを寄せる「がまんのお金」も始まります。私たちは自分のためだけに生きているのではなく社会に貢献するために生を受けました。待降節を子どもなりに自分のできる形で社会貢献を考えていく、そういった良い機会としたいと思います。ご家庭でも一緒に何が出来るか考えていただければと思います。

宗教通信≪よろこびの訪れ≫

アドヴェント(待降節)

キリスト教国ではクリスマスが近づくと街の広場にクリスマスの市場が立ち、街中がイルミネーションだらけになります。光の祭典といってもいいでしょう。これはクリスマスが冬至と重なっていることと深い関係があります。アドヴェントはクリスマスの4回前の日曜日から始まり、今年は12月1日がその第1回目の日曜日に当たります。そして日曜日毎にアドヴェントリースのろうそくに1本ずつ灯をともしていきます。アドヴェントカレンダーとの併用で、クリスマスがだんだん近づく感じが目で見えます。幼稚園でも、12月2日からリースろうそくに灯をともし、子ども達は待降節の話を聞きます。日本ではその後はすぐにお正月飾りに代わりますが、欧米では3人の博士が馬小屋を訪ねてくるという公現(1月の第1日曜日、今年は5日)までがクリスマスの期間(降誕節)で、その後イルミネーションをはずします。

クリスマス(待降節)

キリスト教では人が罪に傾く傾向を、人祖アダムの犯した罪が原罪(Original Sin)としてその後の人類に引き継がれていると説明しています。それを打ち破ったのがイエスで、彼の受難と復活と昇天、一連の行為で、人類が罪の束縛から解放されたと考えています。イエスが生まれなかったら、私たちに救いはなかったというわけです。だからキリスト(救い主)というわけです。 クリスマスという言葉は英語です。キリストのミサ(Christ-mass)が語源で、「キリスト」のギリシャ語表記「Χριστος」の頭文字を取ってXmasとも書かれます。独語ではヴァイナハテン、仏語ではノエル。ロシア語では…。今や日本でも国民行事のようになりましたが、私たちはキリスト教の幼稚園だからこそ、本来の意味を知ってお祝いをしたいと思います。クリスマスイブは前夜祭のことではなくクリスマスの夜(クリスマスイブニング)の略です。ユダヤの習慣で、日没から翌日の日没までが一日の単位でした。そう、「クリスマスの夜(イブ)」は24日だけなのです。

がまんのお金と、やさしい心

 本園では待降節の間、子どもたちが我慢をしたり募金をしたりして、世界中の人のために思いを馳せます。また毎回2つあったおやつをこの期間は1つにして「我慢のお金」に換算し、カトリック児童福祉基金などに寄付を予定しています。このように欲しいものを我慢したり、いやなことに耐えたりすることは、自分の徳として天に宝を積むだけでなく、苦しい立場におかれている人々に思いを寄せて、さらなる大きな喜びを感じられるようになります。ご家庭でも何が我慢できるか一緒に話し合い、それを「我慢のお金」に換算して19日のクリスマスの集いに持たせてください。お家の方も何かの我慢をしてみてはいかがでしょうか?このように、「心のこもったお金」の存在に気付くにも、よいチャンスだと思います。きっと心豊かなクリスマスになるでしょう。

でもお金に換算できない心の我慢もあります。馬小屋(プレセピオ)は園の玄関・ロビーと各保育室に準備してあ ります。キリストがベツレヘムの馬小屋で生まれ、飼い葉桶に寝かされたことを表しています。この習慣は初代教会にはなかったのですが、中世期にアシジの聖フランシスコ*が始めたのです。園では子どもたちがやさしい心ですごしたり我慢ができたりすると、園のロビーにあるイエス様の寝床に自分で「わら」を一本敷いていきます。温かい心で寝床を柔らかくし、イエス様がお生まれになるのを待つのです。

クリスマス発表会

イエス様のお誕生を歌ったり踊ったりしながら18日に皆でお祝いします。聖パウロが書簡の中で「一つの体は多くの部分から成っており、頭が足に向かって、お前は要らないなどと言えない」と書いているように、発表会は園児にとって、どれもそれぞれが皆大切な役割だということを体験する良いチャンスです。自分の受け持った役を大切に尊重し、責任を持って演じて幼子のイエス様にお捧げします。特に年長は、旧約時代からユダヤ人が救い主誕生を待ちわびていた様子を、恒例の聖劇3部作で表現します。

聖劇Ⅰ : 旧約聖書から「出エジプト記」
➢ユダヤ民族が約束の地を目指していかに苦難を
乗り越え、救い主を長く待ちわびていたか
聖劇Ⅱ : ルカの福音から
「ザカリアのお告げとマリアのお告げ」
➢マニフィカトと受胎告知。マリアとザカリアは
天使のお告げを受け入れ、神の計画が進んでいく
聖劇Ⅲ : ルカの福音から「降誕」
➢貧しさの中に生まれ、貧しい人に一番に知らされた
ことからも、一部の人でなく世界中の人のための救い主であることが象徴されている

クリスマスの集いは、19日にあります。歌を歌ったりして楽しく過ごします。この日は、園児の「がまんのお金」を、もしサンタさんが来るようなことがあったら、彼に託して世界の恵まれない子どもたちに配ってもらうことが出来ます…。